ニュース

【レポート】第23回保険者による健診・保健指導に関する検討会

7月29日、東京都千代田区の全国都市会館で、厚生労働省保険局の「第23回保険者による健診・保健指導に関する検討会」が開かれ、第三期特定健診の項目の見直し案がほぼ固まった。

当日は、事務局から第三期特定健診に向けた「これまでの議論の整理」(案)が示され、概ね了承された。課題となっていた非肥満の危険因子保有者の保健指導については義務化されない見通し。

腹囲基準および特定保健指導対象者の選定基準については、現行を維持する方針。腹囲基準については、科学的な知見に基づき検討を行う健康局の「特定健康診査・特定保健指導の在り方に関する検討会」(以下、健康局の検討会)においても、「現状の基準値を維持する」とされていた。

腹囲が基準未満でリスク要因(血圧高値、脂質異常、血糖高値)のある者については、特定保健指導の対象者とはならないが対応方法を引き続き検討する。健康局の検討会においても、「非肥満の危険因子保有者に対して特定保健指導対象者と同程度の介入を実施すべき」と整理されていた。

基本的な健診項目のうち、血中脂質検査については、現行のLDLコレステロールを健診項目として維持し、non-HDLコレステロールについては労働安全衛生法の定期健康診断の見直し状況を踏まえ引き続き検討する。なお、健康局の検討会では、「総コレステロールを健診項目に追加し、LDLコレステロール直接測定法を健診項目として廃止する」とされていた。

血糖検査については、原則として空腹時血糖またはヘモグロビンA1cを測定する(空腹時以外はヘモグロビンA1cのみ)が、健診受診率向上のためには随時血糖が有効との声もあったことから、空腹時以外でヘモグロビンA1cを測定しない場合は食直後を除き随時血糖により血糖検査を行うことも可とした。

尿検査は基本的な項目として維持すべきとした。労働安全衛生法の定期健康診断の見直しも踏まえて引き続き検討する。

肝機能検査については、健康局の検討会で、基本的な健診項目から詳細な健診項目へと位置付けるなどの意見が出されたが、対象者が増え実務的な負担が増す可能性もあることなどを踏まえ、現状維持とした。
 
詳細な健診項目では、新たに血清クレアチニン検査を加えた。ただし、その年の検査結果から対象者を選定する場合には採血を2度行う必要があり、受診者や実施者の負担が増すことになる。そのため血圧または血糖値が保健指導判定値以上となる割合が高い年齢(例えば65歳以上は受診者の8割以上を占める)を設定するなど、対象年齢や運用方法については別途検討する。

心電図検査の対象者は、その年の特定健診で血圧が受診勧奨値以上または問診などで不整脈が疑われる者のうち医師が必要と認める場合とし、健診後速やかに検査を実施するか、それができない場合は受診勧奨する。

眼底検査の対象者は、その年の特定健診で血圧または血糖が受診勧奨判定値以上の者のうち医師が必要と認める場合とし、健診後速やかに検査を実施するか、それができない場合は受診勧奨する。ただし、血糖検査は検査当日に結果が出ない場合もあるため、受診者の利便性を考慮して、前年の検査結果が対象者を選定すべきとの意見があったことを明記した。

貧血検査については、国民に定着している項目であるとともに女性の健診受診を促す意味からも、引き続き詳細な健診項目として維持する。

同検討会では今後、non-HDLコレステロール、随時血糖、血清クレアチニンの受診勧奨判定値や保健指導判定値などについて詰めていく予定。

リンク

ニュース

ページトップへ