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【レポート】第8回 特定健康診査・特定保健指導の在り方に関する検討会

11月8日、厚生労働省の「第8回 特定健康診査・特定保健指導の在り方に関する検討会」(座長=永井良三自治医科大学学長)が開かれ、新たに設定が必要な受診勧奨判定値と保健指導判定値、特定保健指導などについて議論した。

新たに設定が必要な受診勧奨判定値と保健指導判定値

検討会が開かれるのは約半年ぶりのこと。最初に構成員と参考人から、新たに設定が必要となる受診勧奨判定値と保健指導判定値に関する提案がなされた。寺本民生構成員(帝京大学医学部)はnon-HDLコレステロールの保健指導判定値として160 mg/dl以上、受診勧奨判定値として190mg/dl以上を提案した。門脇孝構成員(東京大学大学院医学系研究科)は随時血糖の保健指導判定値として100mg/dl以上を提案。受診勧奨判定値としては200mg/dl以上と180mg/dl以上の2案を示し、「個人的には180mg/dl以上にしたいところだが学会は200mg/dl以上としている。今回は200mg/dl以上とし、将来的に180mg/dl以上を視野に入れるのがスムーズ」と話した。

渡辺毅参考人(独立行政法人労働者健康安全機構福島労災病院)は尿蛋白の保健指導判定値として±、受診勧奨判定値として+1以上を提案した。また、詳細な健診項目に位置付けられるeGFRについては保健指導判定値60未満、受診勧奨値45未満を提案した。これに対して構成員からは尿蛋白の保健指導判定値を±とするエビデンスを問う声があり、渡辺参考人は、提案は明確なエビデンスに基づくものではなく、あくまでも発症予防の観点からのものであると説明した。

判定値については、今回の検討内容を基に保険局や労働基準局と調整した上で、次回の検討会で事務局から示される。

特定保健指導

特定保健指導については事務局が以下の3つの論点を示した。
【論点1】現在は特定保健指導の対象とならない非肥満の危険因子保有者に対して、どのような保健指導を行うべきか。
【論点2】特定保健指導(積極的支援)における支援ポイント数と効果との関係性を踏まえ、より効果が見込める保健指導の実施方法を提示してはどうか。
【論点3】繰り返し特定保健指導の対象となる者に対して、どのような保健指導を行うべきか。

論点1の議論に先立ち、宮本恵宏参考人(国立研究開発法人国立循環器病研究センター)から厚生労働科学研究で進めている「非肥満者に対する保健指導方法の開発に関する研究」の成果が報告された。宮本参考人は「肥満を伴わない人に対する生活習慣の指導が、高血圧、脂質異常、喫煙、血糖値の改善に有効であることが示された」と話し、それらを踏まえた上で、効率的な指導ができるよう、危険因子(血圧、血糖、HDL-Cなど)に対する生活習慣改善(減塩、総エネルギー量、身体活動など)の優先順位を示したマニュアルを作成していることを報告した。

また、保険局医療介護政策課データヘルス・医療費適正化対策推進室の高木有生室長は、健康局の検討会と並行して行われている保険局の検討会(保険者による健診・保健指導等に関する検討会)における、これまでの議論の整理について報告した。保険局の検討会では、特定保健指導対象者の選定基準として、内臓脂肪蓄積の程度とリスク要因数に着目した現行の基準を維持するとしている。永井座長は保険局が腹囲を第一基準として維持した根拠について、あらためて高木室長に確認した。高木室長は、「特定健診・保健指導を保険者の義務としている中で、どこまでを保健指導の対象とするかは保険者の実務とも密接に関わる問題であり、検討会でもそうした観点から現在の腹囲基準を維持すべきとの意見が多かった。また、特定健診の実施率はいまだ5割にも満たない現状があり、まずは実施率を上げていくことを優先して、こうした枠組みになったと受け止めている」と説明した。

この日は論点1を中心に議論した。現行の特定健診・保健指導の枠組みで、一定の成果を上げていることは多くの構成員が認めている一方で、特定健診・保健指導にマンパワーが偏ったことで、市町村において非肥満などそれ以外の健康教育が薄くなっている現状を危惧する声が聞かれた。そうした現状を踏まえ、新しいプログラムでは制度枠外の対象者への保健指導をしっかり書き込むべきとの意見があった。

標準的な健診・保健指導プログラムの改訂

標準的な健診・保健指導プログラムの改訂については、当検討会の下に学識経験者や保健指導実施者などを構成員とした「健診作業班」と「保健指導作業班」を設置する。年内に初会合を開き、来年4月を目標に取りまとめを行う予定。

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