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循環器病対策推進協議会が初会合

1月17日、厚生労働省の「循環器病対策推進協議会」の初会合が開かれ、循環器病対策の現状報告と関連学会・団体からのヒアリングが行われた。

昨年12月に施行された循環器病対策基本法(健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法)では、政府に「循環器病対策推進基本計画」の策定を義務付けている。策定にあたっては循環器病対策推進協議会の意見を聴くよう求めており、協議会はこれに基づき設置された。

この日の会合で、会長には自治医科大学学長の永井良三委員が選ばれ、会長代理には京都大学医学部附属病院病院長の宮本享委員が指名された。議事では、循環器病対策の現状報告と関連学会・団体からのヒアリングが行われた。ヒアリングの対象は、日本脳卒中学会、日本脳卒中協会、日本循環器学会、日本心臓血管外科学会、日本救急医学会、仙台市消防局(全国消防長会救急委員会委員長都市)、日本理学療法士協会、日本作業療法士協会、日本言語聴覚士協会の9団体。

日本脳卒中協会は、発症時の対応について市民への啓発が体系的になされていないなどの課題を報告。患者アンケートで相談窓口のバラつきが困り事のトップであったことから、包括的な相談窓口設置を施策面で必要なこととして挙げた。日本循環器学会は循環器病の認知度が低いことなどを課題として報告。施策面の要望としては、受動喫煙対策、食品の成分表示の充実、ナッジ政策としての減塩対策、学習指導要領に循環器病の予防教育を入れることなどを挙げた。

ヒアリング後の議論では、熊谷雅美委員(公益社団法人日本看護協会常任理事)が、「予防では子どものころからの食育や、いろいろな職種が関わるポピュレーションアプローチが重要」と述べた。また、高齢者の心不全の再発防止がうまく進まない中、看護師の伴走により再発率が下がったモデル事業を例を取り上げ、かかりつけ医の看護師などが患者の生活をみていくことの重要性を強調した。

これに関連し、日本循環器学会代表理事を務める小室一成委員(東京大学医学部附属病院循環器内科教授)が、同学会で「心不全指導療法士」の認定に向けて準備を進めていることを説明した。心不全は循環器病が進むことで起こり、循環器病の多くは生活習慣の乱れに起因するが、大もとである生活習慣を正すのは専門医だけでは無理なため、心不全指導療法士の育成・認定に踏み切ったという。小室委員は「看護師、薬剤師、保健師、作業療法士、理学療法士、管理栄養士など、多くの専門職の方が心不全について学ぶとともに各職種の専門性を生かしてほしい」と語った。

協議会では次回以降もヒアリングを行い、今夏を目途に循環器病対策推進基本計画(案)の策定を目指す。その後、基本計画が閣議決定され、都道府県はそれを基本に都道府県循環器病対策推進計画を策定することになる。

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