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イベントレポート【企画展】3.11現場の真実×心の真実 世界がすこやかであるために ~東日本大震災と保健活動~

東日本大震災から9年。
宮城県仙台市地下鉄東西線荒井駅舎内にある施設、せんだい3.11メモリアル交流館では、2020年2月22日より企画展「3.11現場の真実×心の真実 世界がすこやかであるために ~東日本大震災と保健活動~」が始まった。
3月11日には、交流館でも献花台を設置する予定だったが、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、3月5日に一時休館となった。再開は4月1日を予定している。

企画展を通して見える「保健師」の姿

この企画展のテーマは健康、災害、そして保健活動だ。
東日本大震災のとき、現場で奔走した専門職のひとつである「保健師」は、非常に重要な存在でありながら、表舞台に立つ機会は少ない。この展示は仙台市保健師の協力を得て、当時の記録と9年を経て実施したアンケート、インタビューの言葉などから、その活動の真髄、本質に迫るものである。

本来であれば、直接展示会場に足を運んでほしいところだが、一時休館ということもあり、ここに展示の様子を一部紹介したい。
企画展入り口

保健師が平常時、そして災害時にどのような仕事や役割を担っているか、専門職としてどういう能力を身につけ、どう住民と向き合っているのかを伝える展示は、全国でもそう多くないのではないだろうか。
予防がうまくいったときは、何も起こらない普通の生活が営まれている状態であり、だからこそ保健師の活動は目立たないのかもしれない。

保健師の視点①[公衆衛生]
保健師の視点②[個から集団へ、集団から地域へ]

しかし、住民が自分のまちに保健師がいること、その保健師にどんな相談ができるかを知ること、保健師は災害のときにどんな活動ができるかを知っているかどうかで、被災した時の健康が保てるかどうか、大きく影響するのではないだろうか。

もちろん行政の保健師として、そうした差がでないように目配りし、気配りし、さまざまな資源や人と人をつなぐことはもちろんだが、住民が主体的に活動できるようなしくみづくりや、平常時からの関係づくりも保健師の大事な役割だ。

パネル展示 地域活動の様子

パネル 保健師の仕事は、一言で言うと何ですか?

保健師の専門性とは何か、住民に保健師のことを知ってもらうのはなんのためで、どうしたらよいか。東日本大震災に思いを寄せる機会がだんだんと少なくなっていく中で、こうして9年を経て初めて伝えられる思いやメッセージもある。

展示 わたしたちの3.11

「わたしたちの3.11」 壁一面に貼られた付せん紙に寄せられたメッセージ

 

企画展は2020年6月28日(日)までを予定

交流館の近くには、震災遺構仙台市立荒浜小学校や海を見守る観音像などもある。2月下旬は、3月11日に合わせてこの場所を訪れる人のために、小学校校舎の補修が行われていた。

震災遺構 仙台市立荒浜小学校

震災遺構 旧仙台市立荒浜小学校

荒浜慈聖観音

荒浜慈聖観音 海を背に、荒浜地区を見守るように観音像が建てられた

震災前の荒浜地区まちの模型

震災前の荒浜地区のまちの様子

震災遺構である旧荒浜小学校には、地下鉄荒井駅から市営バスが1時間に1本出ている。せんだい3.11メモリアル交流館とあわせて、ぜひ会場に足を運んでみてほしい。

※2023年6月7日せんだい3.11メモリアル交流館を訪問し、パネルの高解像度データをご提供いただき一部の画像を差し換えました。(編集部 2023.6.20追記)

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