2022年7月号

各地で地震が頻発し、豪雨災害の季節も近づいている。災害への備えは必須だ。保健師が災害時に頼りになる専門職であることは言うまでもないが、その一方で本来の役割を見失いかけているのではないかとの指摘もある。
2022年7月号では、まず座談会で保健師が災害時にすべきことについて、あらためて統括保健師を中心に考える。また、保健師が知っておくべき避難所の現状と課題について、さまざまな角度の情報を掲載する。

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20227月号

定価:本体 1507円(税込)
第53巻4号
発行日:2022年7月1日
B5版 96ページ

座談会災害時の保健活動を再考する  ─ 保健師が力を発揮するために統括保健師がすべきこと

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災害時の支援には多くの職種が関わるようになった。中でも保健師は健康面から支援に関わる重要な職種であり、災害時の保健活動マニュアルを整備する自治体も増えている。一方、被災地にはさまざまな専門支援チームが入るようになり、以前に比べ保健師の存在が相対的に埋没している感がある。保健師が専門職としてのアイデンティティーを見失い、対応に振り回される状況が続けば、バーンアウトのリスクが高まる。また保健師が有効に機能しないことは被災者・住民の不利益につながる。
座談会では、災害時に保健師が本来なすべきことを整理しつつ、それらを妨げる要因を探り、保健師が効果的・効率的に力を発揮するための方策を統括保健師の立場から考える。

(出席者)
・奥田博子さん(国立保健医療科学院)=司会
・島村通子さん(静岡県健康福祉部)
・柗野今日子さん(八王子市総務部)
・茅野かずみさん(広島県竹原市市民福祉部)

特集避難所の現状と課題  ─ 保健師が知っておきたいこと

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避難所の環境の悪さは災害関連死にもつながるため改善が求められており、段ボールベッドやマンホールトイレの設置など、さまざまな工夫がなされるようになってきた。しかし、トイレ対策ひとつをみても、司令塔の不在や防災トイレ計画の未策定など、わが国の避難所対策は課題が残る。国際的には常識である被災地における人権感覚が希薄であることが、これらの背景にはありそうだ。
特集では、避難所の現状と課題という側面から、保健師が知っておきたいトピックを掲載する。

◎わが国の避難所の課題
 石井美恵子 (国際医療福祉大学大学院)

◎災害時に母子を支えるために─心理的安全性を築く拠点作りの重要性
 吉田穂波 (神奈川県立保健福祉大学大学院)

◎避難所の歯科保健の重要性
 中久木康一 (東京医科歯科大学)

◎JRATについて─避難所における生活不活発病予防とリハビリテーション支援
 栗原正紀 (一般社団法人日本災害リハビリテーション支援協会)

◎命を守る避難所のトイレ対策
 加藤 篤 (特定非営利活動法人日本トイレ研究所)

◎避難所での性的マイノリティの人々を取り巻く課題
 山下 梓 (弘前大学)

ひよこ、ホップ、ステップ、ジャンプ!

ピープル

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荻野志保さん(NPO法人みかんぐみ 副代表理事)

<おぎの・しほさん プロフィール>
大学卒業後、教材編集の仕事を経てWEBプロデューサーとして勤務。子どもが生まれた後も仕事を続けていたが、長女が生後9か月のとき、緊急搬送され入院の末重い障害を抱えることに。4か月後に退院し在宅生活が始まる。フルタイムの勤務が難しくなり退職。フリーランスなどを経てスタートアップ企業の役員に就任し現職。平成26年に杉並区で重度心身障害児とその親の会「みかんぐみ」を立ち上げ現在も活動中。

★NPO法人みかんぐみ 公式WEB
https://mikangumi.com/

Close Up

◎災害時における都道府県と市町村の連携強化
 宮﨑美砂子(千葉大学大学院)

連載

なな先生のことばの発達教室

第2回 ことばのシャワーが大事なの?
寺田奈々

東京保健師ものがたり

第8回 月と太陽<高齢者虐待そして児童虐待>
和泉慶子 

オンライン市役所だより

第8回 仕事だけでは出会えなかった保健と福祉の「同志」がつながり・集える場

オンライン市役所 保健師とつながろう課
広島市 こども未来局 児童相談所
社会福祉士
岡崎正明

ESSAY国際保健

第50回 大きな声と小さな声
松田正己

保健師のための閑話ケア

第101回 懐かしき講演旅行
藤本裕明

中臣さんの環境衛生ウオッチング

第86回 新型コロナと生活衛生営業施設
中臣昌広

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