藤本さんの講演旅行記

web版 講演旅行記-2 通算第20回
奄美大島

2016-06-17

奄美(あまみ)大島である! わかります? どこにあるか。
「伊豆諸島でしたっけ?」
なんていう人がいた。それは、伊豆大島だ(;^_^A
そんなわけで、奄美大島は名前を知っていても案外場所を知らない人がいる。
鹿児島県に属するが、ほとんど沖縄と言って良いような所。鹿児島から那覇までのほぼ中間点に位置する。
そんな所に呼ばれてしまったのだ( ̄□ ̄;)!!

そして、話は違うが、とうとう、講演旅行記だけで20回に達した。1回に何ヶ所も取り上げている場合が多いので、講演回数のトータルとは違うが、「地域保健」連載由来の講演が、ここまで増えるとは思いもしなかったし、こうやってweb版にまで別枠が設置されるなんて、まるで、トラベルライターになった気分だ。
そんなわけで、ライター気分の今回からは、写真入りでのご案内(^_^) また、利用した施設などはそこにとって不名誉な内容でない限り実名で紹介するので、皆さんが旅する時の参考にして下さいませ(*^―‘)b

話を奄美大島に戻そう。奄美は、記録を大きく塗り変える事にもなった。
今までは北端が北海道で西南端が和歌山県だったのだが、一気に西南が拡がり、「北海道から鹿児島まで」講演に行った―と言える事になる。そう表現すると、何だかすごいでしょ(;゜⊿゜)ノ
面白がって、
「全国制覇ももうすぐですね!」
なんておっしゃる方もいるが、いやいや、まだまだ。北海道・岩手・山形・福島・新潟・長野・栃木・群馬・埼玉・東京・千葉・神奈川・静岡・愛知・三重・和歌山・鹿児島。47都道府県のうちの17でしかない。
どうぞ、他の地域の方も遠慮なくお声をかけて下さいね。早くしないと、病弱な私はいつ動けなくなってしまうかわかりませんしね。ま、しかし、遠方から声をかけようと言う方の気が知れないのが本音なのだが…。

さて、2015年12月に奄美市のS保健師から連絡を頂き、2016年3月に伺うことになった。2015年度は7月からの講演回数が15回という多さの上に、その年度の最後のシメが、行った事のない奄美大島とは、何だかすごい年度になった感じだ。
初めての場所なので、今回も観光を企て、講演前の3月20日にカミさん同道で、1日1往復だけの羽田からのJALの直行便で奄美空港に向かう。和歌山の南紀白浜便よりちょっと大きい飛行機。
15時前に到着し、空港からは先に手配したレンタカーでまずは島の北部を見物。植生が、ずっと昔に一度だけ行った沖縄に近い。あやまる岬、歴史民俗資料館を見てから、少し南下し「原ハブ屋」という、文字通りハブ屋さんに行く。


―あやまる岬からの眺め―

さて、ハブ。有名な猛毒を持つヘビだ。沖縄の他に奄美にも居るのだ。ハブとヒメハブの2種。ハブ屋といっても、もちろん生体を販売しているわけではなく、ハブの皮を加工したものなど、ハブ製品を売っている。生体は展示もしているが、このお店の小父さんがショーとして野生のハブの捕獲方法などを実演してくれるのが面白くて有名らしい。私が伺った時は、客は私達夫婦だけだったが、それなりに工夫をしていて楽しめた。奄美ではちょっとした有名人みたいだ。


―夜間に捕獲するところを再現しているところ―

ハブについては、奄美から沖縄県にかけての南西諸島の中でも全域で生息しているわけではない。棲んでいる島と居ない島がある。不思議な話だ。

奄美パークという所にも少し寄って、1泊目のホテル「プチリゾート ネイティブシー奄美」にチェックイン。カエルの声がすごい。間違いなくカエルの声だとはわかるが、聴いたことのない声。後で調べたところ、おそらくアマミアオガエルと思われる。奄美大島ではこの他にも珍しい動物をいくつか見た。最初に訪れたあやまる岬では猛禽類のタカの一種のサシバ、奄美パークなどでは普通のヒヨドリよりちょっと色が濃いのがいて、おそらくアマミヒヨドリ、いろいろな場所で見たハシブトガラスは少し本土のより小型だなって思ったら、これもやっぱりリュウキュウハシブトガラスであった。固有種のアマミノクロウサギには、さすがに会えなかったが、植物や動物が、やはり異国のようであった。


―ホテルからの夕景。南国でしょう―

夕食は、ホテルで島の料理を中心としたコース料理。そして、奄美と言えば黒糖焼酎、というわけで、その飲み比べセットなどを注文し、この日だけで6種類ほどと接する。私は基本的にスコッチウィスキー飲みなので、焼酎はクセという点で物足りなく感じる事が多いが、黒糖焼酎の中には樽で熟成させたタイプの物もあって、独特の甘い香りも心地良く、カミさんに呆れられながら、堪能。料理も島独特の巻貝「とびんにゃ」、それに、島の野菜や刺身、豚肉料理など美味であった。


―焼酎飲み比べ。右から二つ目の「紅さんご」が一番気に入った―


―料理の一部。左の器に「とびんにゃ」がある―

2日目。ホテル近くの海岸を散歩。砂浜ではなく、サンゴ浜とでも言った方が良いか。


―サンゴ―だらけでしょ―

その後、島を一気に南下して、ホノホシ海岸に。ここはさっきのサンゴ浜と違って、丸石浜とでも言えば良いか。波打ち際まで大きい丸い石がある。こんな海岸も見た事がない。


―ホノホシ海岸。日本語的じゃない名前―

そして、そこを散策してから島南部の町、瀬戸内町(せとうちちょう)に出て、今度は船に乗る。船底の壁面がガラス張りになっていて、海底見物ができる「マリンビュワーせと」に乗船、サンゴ礁の海底見物。ダイビングで人気の島というのがよくわかる。


―こうやって海底の様子が見える構造の船―

そこから今度は少し北上して「黒潮の森マングローブパーク」に。「道の駅 奄美大島住用(あまみおおしますみよう)」の中にあり、マングローブの原生林にカヌーで行くというイベントなどをやっているのだ。カヌーに乗る時間までに、レストランで昼食。私はヤギのカレーを頂く。久々のヤギ肉。口の中でヤギが跳ねている。ヤギのチーズが好きだが、やはりチーズよりも肉の方がヤギそのものだ。沖縄や奄美大島ではかなり昔からヤギを食べていたらしい。
そしてカヌー。
最初に簡単にレクチャーを受け、カミさんと二人乗りのカヌーに乗船。かなりの人数が参加して皆で漕ぎ出し、満潮の時にしか入れないマングローブの原生林を目指す。3月だが、少し汗ばむような陽気の中、1時間程の珍しい体験であった。


―写真でよく見るマングローブの光景。後頭部だけカミさん登場―

カヌーを下りてからは再び北上、奄美市名瀬(なぜ)に向かい、「奄美山羊島(やぎしま)ホテル」にチェックイン。文字通り、昔はヤギの放牧をしていた島だそうで、その日もヤギ2頭が庭につながれていた。
ヨシヨシと撫でまわすと、昼のカレーの匂いがした…。

夕方、S保健師のお出迎えで、市内の「喜多八」というお店で懇親会。帰りは代行という事で、車で来て下さったが、その車を停めた駐車場が何とも不思議。停めた車の上から、バーが降りてくる初めて見るタイプ。ワンボックスみたいな車だったらどうなるのだろう?


―こんな駐車場、他の地域にもある?―

お店では奄美市、瀬戸内町、大和村(やまとそん)の保健師さんたちと9人で懇親会。島独特のさまざまな料理を堪能し、またもや沢山の種類の黒糖焼酎を頂く。料理の写真は、ない。楽しく過ごす事に夢中で、写真を撮ろうという考えさえ浮かばなかった。沖縄料理に近いような物もあったし、島独特だろうなって思う物もあった。割合どれも薄味という印象が残っているが、美味しかった。
写真と言えば、後で瀬戸内のHさんから送ってもらった皆が写った写真はあるが、皆さんの承諾も得ていないし、何よりも、酔っ払いの姿をネット上に公開する勇気はない^_^;

さて、2日目も終わってしまった。が、皆さんも忘れているかもしれないが、これはただの「旅行記」ではなく、あくまでも「講演旅行記」である。どこにも仕事の痕跡がないまま、ここまで話が進んでいるが、これで良いのだろうか―と、自分でも不安になるような進行だ。
でもね、最終日に、ちゃんと仕事もしましたよ┓(´―`)┏

3日目。レンタカーで奄美市保健センターに向かう。
今回の講演は、「地域保健活動連絡協議会 名瀬地区協議会」という名称の会での研修。奄美市・龍郷町(たつごうちょう)・瀬戸内町・大和村・宇検村(うけんそん)・喜界町(きかいちょう)の6市町村の、主に保健師を中心に構成された会で、演題は「対人援助スキルを磨こう~関わり方と援助者の心得~」。依頼文に「講師として来島いただきご講話をよろしくお願い申し上げます」とあったのだが、「ご来島」という表現の文書を生れてはじめて頂戴した。
いつものように2時間ほど喋り、何となく終了。こうやって、仕事の部分はあっけなく終わり、また遊びモードにすぐ戻る。
そしてホテルに戻ってカミさんと荷物を積んで、島の北部の「元祖鶏飯みなとや」を目指す。鶏飯というのは、ご飯の上に鶏肉などの具をのせ、鶏ダシの汁をたっぷりかけて、茶漬けのように頂く、これまた奄美の名物。これも写真は撮り忘れたが、美味かった。その後、空港から、帰路へ。

今回の旅のコースは、私の友人で非常に活動的で愉快な精神科医、S先生のお勧めを参考にした。Sクリニックには奄美出身のPSWのY君がいて、それをきっかけにか、前に奄美旅行をした経験者である。去年の11月、職員でもないのに何故かSクリニックの職員旅行に誘って頂き、Y君ともご一緒し、奄美の話も聞いていたが、その時点ではまだ他人事であった。
ところが、それからひと月もたたないうちに講演依頼が来たのだ。とても不思議なご縁を感じる奄美旅であった。

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