藤本さんの講演旅行記

web版 講演旅行記-6 通算第24回
奄美大島-2 大島郡宇検村・瀬戸内町

2017-03-02

2016年3月に奄美大島に呼んで頂いたのは、6月の講演旅行記で書いたが、まさか、1年の間に2回も奄美大島に行くなんて、思いもしなかった。
そういえば、和歌山県もそうだった。一度も行ったことのない土地に招かれ、2度と行く事がないだろうとカミさんと一緒に2泊3日で旅行して帰宅。買ってきた和歌山の名物をつまみながらイッパイ飲みつつ、自宅のパソコンで相談室宛てのメールをチェックし始めたら、ナント、2か月後にまた和歌山に来いというメールを発見…。奄美も、2度と行かないだろうとカミさんと一緒に2泊3日で旅行し…。

今回は5月頃に瀬戸内町のH保健師から秋に、という計画があると告げられ、次に予算が通ったという連絡があり、10月に伺う予定になっていたのだが、台風18号が奄美を直撃という予報が出てしまい、直前に中止と決定。しかし、瞬く間に代替日が決まり、12月18日の日曜から2泊3日で奄美に飛ぶ事になった。

18日、今度は問題なく飛行機が飛ぶ。和歌山に行った時は富士山のほぼ真上をかなりの高度で通過した記憶があるが、今回はこんな感じ。

おそらく、太平洋上の伊豆諸島上空あたりを通過しているのだろう。
フライトは2時間半。国内線は陸の上を飛んでいる事が多いので、もし落ちたら救命胴衣の意味はないなって常々思うのだが、奄美に行く航路の眼下には海しか見えない。これなら非常時の救命胴衣の意味がある。使いたくはないが。

奄美空港の直前の海。もう、サンゴ礁なんですよ、これ。
着陸後、レンタカーを借りて出発。最初の目的地の宇検村(うけんそん)は、島の南西部。3月とは逆に島の西海岸を走って南下する事にする。空港からはとりあえず奄美市に出る。前回講演した所だ。そこから西に向かって大和村(やまとそん)方面へ。そして、国直(くになお)海岸に立ち寄る。

夕方の浜は、やはりサンゴのカケラで埋まっている。そして、ウミガメの産卵地のようだ。何も知らずに立ち寄ったが、東シナ海に面した小さな湾はおそらくウミガメが上陸しやすい何らかの条件が整っているのであろう。見てみたいものだが、今はその時期ではない。
東シナ海に夕日が近づいているこの時間は16時過ぎ。冬は南西の日没が遅くなる時期なので、まだこんなに明るい。

更に1時間ほど車を走らせて、本日のお宿、宇検村(うけんそん)の「開運の郷、やけうちの宿」に到着。

この中央棟はフロントや食堂になっていて、客室は独立したコテージ。なかなかオシャレで広い。

コテージの庭はこんな感じで、やはり南国ムード満載。
そして、到着した夜に、早速、懇親会。翌朝が講演なのに…。
宇検村の総務企画課、課長補佐のMさん、初めて実名登場の熊本出身の男性保健師浅尾君、そして、なぜか2日後に訪れる瀬戸内町のH保健師と、岡山出身で同じく瀬戸内の若手保健師HOさんも同席。
Hさんは住まいが宇検村で、M補佐とも親戚、浅尾君に私の事を話した仕掛け人もHさんだったために、こんな構成の懇親会になったようだ。
沢山黒糖焼酎を頂きながら、明日の朝の講演後の過ごし方の話になる。朝、宇検で講演をした後、夕方に瀬戸内に行けば良いので、かなり時間が余るのだ。
すると、Mさん。
「浅尾君、有休いっぱいあるんだろ」
「はい、あります」
「じゃ、明日、講演の後、休め。イカ釣りに行こう」
―と、そんな話になった。私はもちろんやった事がないが、興味はあるし、連れて行って頂く事で話が決まる。

12月19日月曜日、宇検村での講演は、村役場の職員研修。お題は「職場の健康について考えよう ~ストレスとの上手なつきあい方~」。まだ体内に黒糖焼酎が残っているような気がしたが、ま、一応終了。そして、浅尾君と昼食後、着替えてから海に向かう。
堤防から釣るか、船を出すかという話があったが、船と決まったらしい。Mさん所有の釣り船である。
カミさんの親戚に漁師がいたので、かなり前に岩手県のリアス式海岸を海から観ようと沖に連れて行ってもらった事があるが、それ以来の船。

焼内(やけうち)湾の中を、どんどん進む。湾内には、真珠の養殖とマグロの養殖をしているポイントが沢山。それらを左に見ながら、時々停船して釣りに挑む。大きなルアーのような物を海に投げ入れて、ぐいぐいと引っ張る。案外難しい。この辺の人は得意らしいが、浅尾君はまだ釣れた事がないらしく、Mさん指導の下、2人して挑戦をするが…。
陸の方では猛禽のサシバが舞っているが、普通こういった地形に多いはずのトンビはいない。リュウキュウハシブトガラスは海面すれすれを飛んでみたりしていて、海に生きるカラスもなかなか楽しそうだ―なんて、釣れない私が鳥の観察に気を取られているうちに、浅尾君の竿にヒット!

これがアオリイカ。
そして、名前だけでなく「講演旅行記」初出演保健師の、雄姿である。

この雄姿を載せるならば、名前を伏せていても意味がない―という事で、本人の許可の下、名前と雄姿の掲載となった次第。
彼もこの釣果で、やっと奄美の男の仲間入りらしい。そのうち、Mさんのように、マイボートも持つようになるのかな。ちなみにこの後に訪れた瀬戸内の課長さんも休日はマイボートで海に出るそうな。内陸部に住む私には考えられない生活だ。
その後Mさんも釣ったところで、雨が降り出し、釣りは中断となり港に引き返す。私は釣れなかったが、こんな貴重な時間を持たせて頂いた事に、心から感謝したい。

雨に濡れたのだが、口に入る水滴はちょっとしょっぱくて、12月だというのにびしょ濡れでも寒くはなく、やはり奄美に居るんだなぁ、と、当たり前な事を再認識しながら、レンタカーの中で簡単に着替えて瀬戸内町に向かう。
1時間余、車を走らせて、とりあえずホテルにチェックイン。シャワーを浴びてしっかり着替えて、今度は瀬戸内町役場に向かう。
18時から瀬戸内町第1回目の講演。翌朝にもう1回あるのだ。この日は医療、介護などの関係者向けの講演で「対人援助スキルアップ研修~関わり方と援助者の心得~」。無事に終わって、夜は2度目の懇親会。10人余で賑やかに飲み、2日続けて肝臓も脳ミソも、黒糖焼酎漬けになってしまった…。
翌朝、今度は、在宅福祉アドバイザーなど、要するに、住民で、福祉行政の協力者たち向けの講演。「心が軽くなるコミュニケーション術~住民十色、関わり方の極意教えます~」という演題で、前日同様、体内の黒糖焼酎の存在を感じながらの講演であった。一応、こんな写真も送って頂いたので、働いている証拠として載せておく。

この写真ではわかりにくいが、左に立っている男性がいるでしょう。町のI係長なのだが、私と同じようなヒゲをはやしている。前夜の懇親会では若い係長のヒゲを撫でまわして、思いきり可愛がってあげた。そして、私に何かあった時は影武者として働いてもらおうという話になっていたが、世話にならずに済んだ。
講演後、皆さんと別れて、道の駅ならぬ「せとうち海の駅」に寄ってから、空港に向かう。

昨日の宇検と同様、瀬戸内もマグロ養殖がすごいらしい。
15時半発の直行便に搭乗。そして約2時間後、羽田近くの千葉県上空からの写真。

17時過ぎ頃なのだが、こんなに暗い。宇検村の宿の写真をもう一度見て欲しい。あれ、17時半頃ですよ。やっぱり日本は広い。
2泊3日で2懇親会3講演―という、ハードなスケジュールが終わった。

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