藤本さんの講演旅行記

web版 講演旅行記-7 通算第25回
埼玉県白岡市・秋田県美郷町・仙北市

2017-04-03

前回の奄美講演旅行の3日前、埼玉県白岡市での講演があった。これまた同じ県内でも通過した事しかない北東部の市。白岡からは2講演、12月15日に保健師向け、翌年2月に職員向けの講演を頼まれた。そのふたつの間に、まずは前回の奄美、そして、1月に秋田県の2市町連続。2月の白岡の後には山口県でも1講演があるので、12月から2月までの間に、前回の奄美の3講演+白岡2+秋田2+山口1=8講演である。集中し過ぎた冬。
そんなわけで、時系列的には奄美の前と秋田の後に白岡になるのだが、申し訳ない程に書く事も少なく、一度にまとめさせて頂いた次第。

12月15日の夕方、都内での仕事の後、宇都宮線(東北本線)で白岡に。駅まで迎えに来てもらって会場に向かう。
「白岡は初めてですか?」
「そうですねぇ。初めてで最後かもしれないですね」
と、つい、2月にもお呼び頂いている事を忘れてお返事し、笑われた。最近の記憶力はこんな程度である…。
何でも、「住みよさランキング」で、埼玉県内トップに選ばれた事があるらしい。電車で都心まで1時間弱は通勤圏と言えるし、静かな印象だし、まあ、良い所ではあると思うが、正直、2回とも懇親会をやるという事で、電車で行き、周辺を散策する時間もなかったので、パッと見た感じで平らな町―という印象しかない。白岡の皆さん、ごめんなさいm(_ _)m

何でも、梨の産地としても有名だという事で、保健センターでも梨を利用(?)してこんな物を配っていた。

12月は「白岡市自主研修グループ『地域保健活動を考える会』研修」という事で、白岡とその周辺の保健師などを対象に「支援者のメンタルへルス~モチベーションの保ち方~」という演題。中には以前にお会いした他市の保健師もいらっしゃった。そもそも私に依頼したK保健師も、前に近隣市で私の講演を聴いた事があったようであり、世間は狭いものである。

終了後は白岡の方たちと懇親会。県から出向しているK課長とは共通の知人の医師や保健師がいて、そこでも世間の狭さを感じる。悪い事は出来ない。してないけど。いや、してないつもりではあるけれど^_^;
お土産もいろいろ頂き、中にはこんな物もあった。梨とブルーベリーのお酒。かなり梨に力を入れているようだ。

2月には市役所職員への講演。講演の前に保健センター近くの農産物直売所の蕎麦屋に連れて行って頂く。
白岡市産の蕎麦粉の手打ち蕎麦なのだが、これまた初めて食べるパターン。

左側には野菜や肉がたっぷりの温かい汁のどんぶり、右側には、いわゆるもりそばである。
この蕎麦を、左のどんぶりに浸けて食べるのだ。なかなか美味。

そして、前回同様、立派な保健センターが会場。

このすぐ裏側に東北自動車道が通っている。
白岡では、市職員対象に何年かに渡って「ゲートキーパー研修」をしていて、今回もその延長上。でも、今回は市民に対してのゲートキーパー以前の問題として「職員のメンタルヘルスの保ち方」という事で、1時間の講演を2回、つまり、役場の中を空にするわけには行かないので、同じ内容で2回という事になった。このパターンは初めて。私の講演には原稿もなく、プレゼンテーションソフトも使わないので、同じ内容になるわけがないのであるが、何とか、ごまかした。
この日も中堅どころと、鳥料理屋で懇親会をして、埼玉北部の夜は更けた。

さて、秋田県美郷町(みさとちょう)。花火で有名な大曲(おおまがり)という所のすぐ近くの町。8月に町の保健師Tさんから講演依頼が来たのだが、私に連絡をくれる前に、ナント、隣の岩手県の、私を4回も呼んでいる物好き岩泉町に問い合わせをしたらしい。まあ、実際に会って話を聴いている岩泉にいろいろ様子を尋ねるのは賢明とは言えるが、Tさんと岩泉のHさんは知り合いでもないわけで、その辺が面白い。東北同士という親近感だろうが、Hさんも驚いたようだ。
そんなわけで、Hさんを東北講演担当秘書官に任命したので、今後、東北の方は、まず岩泉に尋ねてから連絡して下さい(^.^)(-.-)(__) ウソです┓(´―`)┏

それはともかく、連絡が来たのは8月だが話すのは1月。秋田の1月ですよ。雪で辿り着けないのではないだろうかと思った。が、Tさんは「自称晴れ女なので、晴れてくれることを信じています…!」などとノンキな事をおっしゃる。結果的に晴れ女パワーがすご過ぎて、この冬は雪の少ない秋田になったようだ。
1月19日秋田新幹線で大曲に向かう。

途中の景色はこんな感じで、十分、雪がありそうに見えるが、その辺の山が白くないでしょう。
大曲駅に到着すると、事務の男性Mさんが迎えに。手配写真の普及により、こういった時は便利だ。目印のヒゲを剃ったら、誰も気づいてくれないだろうが。
会場に向かう車中でどうでも良いお喋り。秋田美人という表現があるが、そんな話をしていたら、
「いやあ先生、でも、今日はきっと元美人ばかりだと思います」
と、Mさん。つまり聴衆の平均年齢が高そうだという事だが…。
「あ~、Mさんがこう言ったって、みんなに言っちゃおうかな」
と、からかってあげた。

会場は美郷町住民活動センター。150人ほどの申込みだったらしいが、保健師たちのタクミな宣伝活動が功を奏して、当日増えたらしい。
で、多くの元、いや、現、秋田美人を前に講演。演題は「前向きに明るく生きる知恵~心のリフレッシュ術~」。まあ、いつものように、笑いもあって何となく終わった。

一度宿まで送って頂いて、チェックインしてから少し街中を散歩。駅にはこんな飾りも。

道路面は雪かきされていて全く問題ないが、駅の前でもこんな感じでやっぱり雪国だなって思う。

総勢8人で懇親会。秋田には美人の他にも美味しい米、酒などいろいろな名物があり、美味しく楽しく頂戴した。それと、東北弁というのは、私には耳触りが良くて、何だかホッとする響き。皆さんにとっては当たり前の事だろうが、こういった言葉に接している事が、私にとってのリフレッシュ効果があるようだ。
美郷町の観光らしき事は、今回一切しなかった。Tさんの話では夏なら見どころもいろいろあるが、冬は雪しかないらしく…。

翌朝のホテルの窓からの景色。

やはり山に雪がない。
とは言え、駅ではこんな風に雪下ろしをしているシーンも。

ないと言っても、私にとってはやっぱり大雪だ。
そして、再び秋田新幹線「こまち」に乗車。

美郷町からの依頼だけならこのまま帰るはずだが、そうは行かなかった。10月に、近隣の仙北市(せんぼくし)のF保健師から連絡があり、そちらでも話せという依頼。美郷町まで来る事を知ったFさんが、相談室のホームページに「諸々の条件が揃えば遠隔地での連続講演も可能」といった事を書いてあるのを見て、「チャンスと思い、ご連絡させていただいた」そうだ。「平成28年度県南地区国民健康保険協議会保健師研修会」という事業で、こちらは保健師対象の講演である。

新幹線でひと区間だけ乗って、下車したのは角館(かくのだて)駅。 駅にはこんな飾り。

そして、駅の外から駅舎を見るとこんな感じ。

やはり道には雪がないが、間違いなく雪国だ。
角館は30年以上前に一度来た事がある。武家屋敷にシダレザクラ、「みちのくの小京都」と呼ばれる観光地。町並に対する配慮も当然あって、コンビニだってこんな感じ。

ん? わからない? 左の建物が、日本中で見るセブン―だ。
その近くの信号は初めて見た。

雪国の信号機は積雪しにくいようにタテ型だが、これは更に、前面に透明なカバーのような物がついている。着雪除けの工夫であろう。
歴史ある地区の町並みはこんな感じ。

このような建物がずっと続いているのだ。
今回はその中の1軒、「岩橋家」に入る事が出来た。ボランティアの方が地元の方言で地域の歴史などを紹介する「角館冬がたり」という無料のイベント。この町ができた背景などを紹介すると共に保存食や雪とのつき合いについて、30分話を聴いた。途中、「いぶりがっこ」も頂いた。皆さんはご存知? もともとは囲炉裏の上で干し大根を作り、それをぬか漬けにしたもので、言わば、燻製になったタクアンである。地元の方が作った物らしく、これはなかなか美味かった。
屋敷の敷地内にもシダレザクラはあるが、屋敷が途切れた所にも、立派な木があった。

この木の前には解説の札が立っていて一番古い木は300年、全部で200本くらいのうち、162本が天然記念物だと書いてある。「冬がたり」でも聴いたが、京都から持ち込まれた物との事。よく北国の気候に適応して根付いたものだ。

午前中にフラフラと観光をして、美味しい蕎麦を食べてから、会場のグランデールガーデンへ。
演題は「保健師のための閑話ケアin仙北市~保健師のメンタルへルス講座~」。仙北市の他、大仙市、湯沢市、など6市町の保健師約30人が対象。前日の美郷町からもTさんと、懇親会をご一緒したNさん、新人のWさんが来ていた。
夜は5人でこぢんまりと懇親会。町の酒屋のお嬢さんであるFさんが酒をチョイスしてくれた。
ところで、その会場の店に行く途中にこんな物を発見。

ピンボケではあるが、このツララ、スゴイでしょ。1m以上はある。こんな物が降ってきたら、おしまいだ。また、道路に突き出た樹上にも雪のカタマリがあり、時々落ちる。雪国は滑る足元のみならず、頭上も要注意と知る。

翌日の新幹線で帰路へ。埼玉県の大宮駅からだと3時間かからない。昔から考えたら信じられないほど早い。なので、本当は日帰りだって可能なのだ。
でも、懇親会をする事になって、そうなると、泊まる。それが発覚して隣市にも招かれ、そしてまた懇親会で、泊まる…。
あいかわらず、私は何をやっているんだろう―と少しばかり疑問が残る2泊3日であった。

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