【レポート】第3回がん検診受診率等に関するワーキンググループ
8月29日、東京都港区の航空会館で、厚生労働省健康局の「第3回がん検診受診率等に関するワーキンググループ」(座長=斎藤博国立がん研究センター社会と健康研究センター検診研究部長)が開かれ、市区町村間で比較可能ながん検診受診率の算定法について、国民健康保険被保険者を分母・分子とする算定式が了承された。
同ワーキンググループは6月14日の初会合から2回にわたり、市区町村間や保険者間で比較可能ながん検診受診率算定方法などについて議論を重ねてきた。最終回となる当日は事務局から報告書案が提示され、それをもとに意見が交わされた。
報告書案では、受診率算定等の現状と課題及び今後の方向性を①市区町村間で比較可能ながん検診受診率算定法②保険者間で比較可能ながん検診受診率算定法③がん検診受診率の報告内容および公表方法④精密検査受診率等の目標設定⑤その他――の5項目でまとめている。この日の会合では「①市区町村間で比較可能ながん検診受診率算定法」の文言について、多くの時間を割いて検討した。
市区町村事業におけるがん検診の受診率の算定方法は、「市区町村の住民から職域でがん検診を受けた者を引いた数」を分母、「市区町村事業におけるがん検診受診者」を分子として表わされる。しかし実際のところ、市区町村の住民のうち、職域でがん検診を受けた者の数を把握することは不可能だ。そのため報告書案では「市区町村間で受診率を比較するためには、すべての市区町村が同じ条件で算定可能なデータを算定式に用いる必要がある」として、「国民健康保険被保険者」を分母、「市区町村事業におけるがん検診受診者のうち国民健康保険被保険者」を分子として算定することを提案した。
会合では算定方法の式については了承を得た。しかし、実際に被扶養者などが市区町村のがん検診を受ける機会がある被用者保険の構成員から、国保被保険者だけの数字で算定されることによるさまざまな影響を懸念して、「国保以外の方をどう考えるのかも記載するべきではないか」「単に(市区町村間の)比較をするだけの計算で、事業そのものの評価ではないことにしないとかなり混乱する」などの意見が述べられた。意見を踏まえた修正については、当日の会合で結論を出すには至らず、会合後の対応となった。
今後、報告書がとりまとめられ、親会である「がん対策推進協議会」に報告される予定。
リンク