【レポート】日本財団「自殺意識調査 2016(速報)」
日本財団は、9月10日「WHO世界自殺予防デー」にあわせて、全都道府県4万人超を対象に自殺意識に関する大規模調査(インターネット調査)を実施した。
日本財団では、2016年8月2日(火)~9日(火)、全都道府県の20歳以上の男女を対象に自殺意識に関するインターネット調査を実施し、有効回答数4万436人の分析を行い、9月7日(水)にその結果(速報)を発表した。
それによると、全体の25.4%が「本気で自殺したいと考えたことがある(自殺念慮あり)」と答え、自殺念慮のある人の65.5%が「家庭問題」「勤務問題」「経済生活問題」など2つ以上の原因で自殺を考えていた。年代別にみると若年層の比率が高く、性別では女性の比率が有意に高かった。
全体の21.7%が身近な人を自殺で亡くしており、そのうちの33.9%が自殺念慮を抱き、10.4%が自殺未遂を経験していた。身近な人とは、「恋人」が最も多く、次に「同居家族・親族」「友人」であった。
同財団の推計では、過去1年以内の自殺未遂経験者は、全国で約53万5,000人にのぼるという。
また、自殺のハイリスクグループを分析したところ、「他者に頼ることができず、人間は理解・共感できないと思っている人」「死に対する恐怖感が低い人、生を全うする意思が弱い人」「失業」「女性」「配偶者との死別・離別・別居」「家族と同居」などが浮き彫りになった。さらに、現在「家族等からの虐待」「家族の死亡」「職場や学校でのいじめ」「生活苦」などがあったり、過去に「アルコール依存」「薬物依存」「被虐待」などがあると自殺リスクが高くなる。過去に「被虐待」があり、現在も「被虐待」や他のリスクが重なる場合は、非常に自殺リスクが高まることが分かった。
しかし自殺の危機要因(過去の被虐待+現在の生活苦)があっても、「自己有用感」「社会問題解決能力」「共感力」がある人は、自殺のリスクが低かった。
また、「住み続けたい」という人が多い地域は自殺リスクが低いことが明らかになった。
同財団は自殺対策の方向性について、「社会全体として包括的に自殺対策に取り組むべきであり、さまざまな分野の関係者が連携し、自殺のハイリスクグループへの支援を強化しながら、“生き心地のよい地域”をつくるべき」と提言している。
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