【ニュース】検討会が児童発達支援に関するガイドライン(案)を了承
5月23日、厚生労働省の「児童発達支援に関するガイドライン策定検討会」の5回目の会合が開かれ、児童発達支援に関するガイドライン(案)がおおむね了承された。
児童発達支援は障害児通所支援の一つで、主に障害のある未就学児が通い、日常生活における基本的な動作の指導、知識技能の付与、集団生活への適応訓練などの支援を行う。児童発達支援を提供する施設には、地域の中核的な施設である児童発達支援センターと、それ以外の児童発達支援事業所がある。施設数は2012(平成24)年4月には約1,700か所であったが、4年後の16(平成28)年10月には約4,500か所まで増加しており、支援の質にばらつきがあることが課題となっていた。そこで児童発達支援として提供すべき内容と全国共通の枠組みを示し、支援の質を担保するために、昨年11月に「児童発達支援に関するガイドライン策定検討会」を立ち上げ、議論を重ねてきた。
最後の会合となったこの日、事務局から最終的なガイドラインの案が示された。構成員からは「素晴らしいガイドラインになった」など称賛する声が多く聞かれ、案はおおむね了承された。今後、パブリックコメントにかけた後、ガイドラインが公表される。
ガイドライン(案)の構成は、
《第1章》総則
《第2章》児童発達支援の提供すべき支援
《第3章》児童発達支援計画の作成及び評価
《第4章》関係機関との連携
《第5章》児童発達支援の提供体制
《第6章》支援の質の向上と権利擁護
となっている。
《第1章》総則では、障害児支援の基本理念として、地域社会への参加・包容(インクル―ジョン)の推進などを明記し、専門的な知識・経験に基づく障害児支援を一般的な子育て支援の後方支援として位置付けた。
中核となる《第2章》児童発達支援では、本人支援である「発達支援」のほかに、「家族支援」「地域支援」の項を設けた。保育所等への移行に関する「移行支援」は発達支援の項に組み込んだ。発達支援(本人支援)の内容は、障害児の発達の側面から、▸健康・生活▸運動・感覚▸認知・行動▸言語・コミュニケーション▸人間関係・社会性――に分けて記述した。健康・生活は、▸健康状態の把握▸健康の増進▸リハビリテーションの実施▸基本的生活スキル(清潔、食事、衣類着脱、排せつ等)の獲得▸構造化等により生活環境を整える(時間や空間を本人に分かりやすく構造化すること等)――となっている。
家族支援では、子どもの障害特性を理解する前段階である「気づき」の支援、虐待の疑いのある場合の対応などを記述。地域支援では児童発達支援センター等の役割として、保育所等子育て支援機関、医療機関・保健所・児童相談所等の専門機関との連携、個別ケース検討会議の開催、要保護児童対策地域協議会等への参加などを挙げた。また、地域の連携・ネットワークの中核機関としての役割は「特に児童発達支援センター」と明記している。
第4章《関係機関との連携》では、▸母子保健▸医療機関や専門機関▸保育所・幼稚園▸他の児童発達支援センター・児童発達支援事業所▸学校▸放課後等デイサービス事業所――等との連携について記述。乳幼児健康診査、発達相談などを通した「気づき」の重要性や、NICUから在宅へ移行後の地域の保健・医療・保育・教育等との連携の必要性を説いた。
第5章《児童発達支援の提供体制》では、児童発達支援センター等における適切な職員配置、設置者・管理者の責務や組織運営管理などを盛り込んだ。組織運営管理については、事業所の自己評価および保護所等の事業所評価を事業所に義務付けた。事業所は「児童発達支援自己評価表」(事業所職員向け)と「児童発達支援評価表」(保護者等向け)の評価結果について、おおむね年に1回、ホームページ等で利用者や保護者等に向けて公表することとしている。
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