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【ニュース】自殺総合対策大綱を閣議決定

7月25日、政府は自殺総合対策大綱を閣議決定した。自殺総合対策大綱は2007(平成19)年に初めて策定されてから5年ごとに見直しており、今回は3度目となる。

初回の大綱策定以降、大綱に沿ってさまざまな取り組みが進められた結果、わが国の年間自殺者数は2010(平成22)年から7年連続して減少した。12(平成24)年には15年ぶりに3万人を割り、16(平成28)年には2万2千人を下回った。しかし、依然として自殺者数は年間2万人を超えており、主要先進7か国の中で自殺死亡率(人口10万人当たりの自殺者数)は最も高い。
新しい大綱では、自殺死亡率を先進諸国の現在の水準まで減少することを目指し、26(平成38)年までに15(平成27)年と比べ30%以上減少させる目標を掲げている。

自殺対策の基本方針としては、①生きることの包括的な支援として推進する②関連施策との有機的な連携を強化して総合的に取り組む③対応の段階に応じてレベルごとの対策を効果的に連動させる④実践と啓発を両輪として推進する⑤国、地方公共団体、関係団体、民間団体、企業及び国民の役割を明確化し、その連携・協働を推進する――の5つを挙げた。

① 生きることの包括的な支援として推進する
社会全体の自殺リスクを低下させるため、「生きることの阻害要因(自殺のリスク要因)」を減らし、「生きることの促進要因(自殺に対する保護要因)」を増やす、とした。
②関連施策との有機的な連携を強化して総合的に取り組む
「我が事・丸ごと」地域共生社会の実現に向けた取り組みや生活困窮者自立支援制度などとの連携、精神保健医療福祉施策との連携などを掲げた。
③対応の段階に応じてレベルごとの対策を効果的に連動させる
対人支援・地域連携・社会制度のレベルごとの対策を連動させることや、事前対応・自殺発生の危機対応・事後対応等の段階ごとに効果的な施策を講じることなどを盛り込んだ。
④実践と啓発を両輪として推進する
自殺は「誰にでも起こり得る危機」という認識の醸成や、自殺や精神疾患に対する偏見をなくす取り組みを推進するほか、報道の仕方によっては他の自殺を誘発する危険性もあることから、報道機関に対する自殺報道に関するガイドラインの周知などを挙げた。
⑤国、地方公共団体、関係団体、民間団体、企業及び国民の役割を明確化し、その連携・協働を推進する
国の役割として、自殺総合対策推進センターを通じた都道府県や市町村への支援などを盛り込んだ。また、地方公共団体の役割としては、都道府県や政令指定都市に設置された地域自殺対策推進センターが、管内市区町村の地域自殺対策計画の策定・進捗管理・検証等への支援を行う、などとしている。

当面の重点施策としては、以下の12項目を挙げた。
① 地域レベルの実践的な取組への支援を強化する
② 国民一人ひとりの気づきと見守りを促す
③ 自殺総合対策の推進に資する調査研究等を推進する
④ 自殺対策に係る人材の確保、養成及び資質の向上を図る
⑤ 心の健康を支援する環境の整備と心の健康づくりを推進する
⑥ 適切な精神保健医療福祉サービスを受けられるようにする
⑦ 社会全体の自殺リスクを低下させる
⑧ 自殺未遂者の再度の自殺企図を防ぐ
⑨ 遺された人への支援を充実する
⑩ 民間団体との連携を強化する
⑪ 子ども・若者の自殺対策を更に推進する
⑫ 勤務問題による自殺対策を更に推進する

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