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地域・職域連携推進ガイドライン改訂版の骨子が明らかに

厚生労働省の「これからの地域・職域連携推進の在り方に関する検討会」(座長=津下一代あいち健康の森健康科学総合センター センター長)は、地域・職域連携推進ガイドラインの改訂に向けて議論を進めている。7月1日の第4回の会合で、改訂版の骨子(案)が示された。

改訂版の骨子(案)では、ガイドラインの構成は次の通り。

はじめに
Ⅰ 地域・職域連携の基本的理念
Ⅱ 地域・職域連携推進協議会の効果的な運営
Ⅲ 地域・職域連携事業の企画・実施
Ⅳ具体的な連携の取組に向けた工夫
おわりに

現ガイドラインのⅠ~Ⅶを内容の編入などで整理した。特にⅣは大幅に書き換えている。

「Ⅰ 地域・職域連携の基本的理念」では、特定健診・保健指導、データヘルス計画、健康経営など、近年の動向を踏まえ、連携の基本的な考え方の内容を修正する。地域・職域連携のメリットとして、現ガイドラインに記述されているメリットに加え、小規模事業場・自営業者、被扶養者、退職者など、従来支援が不十分だった層への対応を明記、これらのメリットにより健康寿命の延伸や医療費の適正化に寄与する可能性があることにも触れる。

「Ⅱ 地域・職域連携推進協議会の効果的な運営」は、基本的に現ガイドラインの「Ⅱ地域・職域連携推進協議会の設置」を踏襲するが、協議会の設置にとどまらず効果的な運営方法にまで踏み込む。また、協議会の構成機関の役割や期待される役割について記載し、保険者協議会や地域版日本健康会議など、他の協議会や会議との連携の在り方についても整理する。

「Ⅲ 地域・職域連携事業の企画・実施」では、現ガイドラインが二次医療圏協議会の連携事業だけだったのに対し、都道府県協議会の連携事業についても記す。また、計画、運営・実施、評価、見直しというPDCA サイクルに基づいた展開とするも、その順番にはこだわらないとしている。なお、連携事業の企画・実施の具体的な項目(現状分析、課題の明確化、目標設定、連携事業のリストアップ、連携内容の決定及び提案、連携内容の具体化・実施計画の作成、効果指標並びに評価方法の設定)はそのままだが、ここ10年あまりの動向を踏まえ、データヘルス計画の活用などの記述も盛り込んでいる。協議会の評価についても記載する予定。

「Ⅳ 具体的な連携の取組に向けた工夫」は、現ガイドラインの「Ⅳ連携事業の実施」と「Ⅵ連携事業を推進する際の留意点」を集約し、新たに連携を具体的に展開するための工夫について記載している。項目建ては、①地域・職域連携の必要性や有用性の理解②健康課題の把握と対策の検討に向けたデータの収集・分析③地域・職域連携によって取り組むべき課題と取り組み事項の明確化④対象者別の具体的な取組例⑤具体的な取組を実施するために必要なリソースの確保――とした。このうち③の取り組むべき課題では、例として生活習慣病予防対策、たばこ対策、がん検診受診率向上、メンタルヘルス対策のほか、治療の仕事の両立支援対策、社会参加対策(退職後の居場所づくり)などを挙げている。また⑤のリソースとして、担当者間の連携基盤の構築、専門職の人員確保、ソーシャルキャピタルの活用などを明記した。

この日、構成員からは部分的な表記に関する確認や意見が述べられた。そうした中で、神ノ田昌博労働衛生課長は事業所住所地と従業員の居住地にズレがある問題を取り上げ、「事業所の立場からすると複数の自治体と連携しなければならず、地域・職域連携を進める上で障害になっている」と指摘。その上で「市町村長の立場からすると、事業所の従業員が健康になり生産性が上がれば自治体の税収も上がるインセンティブが働き、まさに健康経営となる。事業所単位と地域単位をマッチさせる工夫が必要ではないか」と提言した。

小松原祐介構成員(健康保険組合連合会保健部長)もこれに同調し、「健保連の立場からすると、労働衛生課長の言うように従業員の住所地に関係なく事業所単位で進めないとにっちもさっちもいかない。(健康保険組合の)データヘルス計画は二次医療圏ごとに作るわけではないので、『加入者の住所地ごとにデータを出せ』というのであれば無理だ」と現状を伝えた。これに対して事務局の武井貞治健康課長は、「ご指摘の点は非常に重要だと認識している。将来的な展望も含めて、きょういただいたテーマを事務局としてしっかり受け止めさせていただく」と話した。

この日は検討会の報告書の目次案も示され、了承された。

次回は8月5日に開催し、引き続き地域・職域連携推進ガイドラインの改定骨子(案)と検討会報告書について議論する。

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