厚生労働省が「高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施」の体制整備に向けて事務連絡
7月5日、厚生労働省は保険局高齢者医療課、保険局国民健康保険課、老健局老人保健課の連名で、都道府県後期高齢者医療主管部局、国民健康保険主管部局、介護保険主管部局、都道府県後期高齢者医療広域連合事務局宛てに、事務連絡「高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施の施行に向けた体制整備等について」を発出した。
高齢者は複数の慢性疾患を抱え、フレイル状態にもなりやすい。しかし、保健事業は国民健康保険と後期高齢者広域連合で制度が分かれており、市町村の保健事業と介護予防も担当部署が異なるため、高齢者の健康状況や生活機能の課題に一体的に対応できないという課題がある。そのため厚生労働省では、市町村において高齢者の保健事業と介護予防を一体的に実施することで、一人一人の状況に応じたきめ細かな対応ができる体制づくりを目指している。
今年の5月22日には、市町村が中心となり高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施を進めるための規定を盛り込んだ「医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律」を公布。現在、保険局では「高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施の推進に向けたプログラム検討のための実務者検討班」、老健局では「一般介護予防事業等の推進方策に関する検討会」で、一体的な実施に向けた議論を進めている。
保険局が示したスケジュールでは、前述の実務者検討班の議論を踏まえ、今年の10月ころまでに「高齢者の特性を踏まえた保健事業ガイドライン」の改定を行うとしている。また老健局はこの夏に「一般介護予防事業等の推進方策に関する検討会」の中間とりまとめ、冬に最終的なとりまとめを目指している。そうした中で、現時点で各自治体において検討すべき内容を事務連絡として整理して伝え、来年4月1日の一体的な実施の円滑な施行につなげる意図がある。
事務連絡では、一体的な実施を進めるに当たって、市町村ごとに保健師等の医療専門職の体制整備が必要であることを明記している。具体的には、KDBシステムを活用して地域の健康課題の把握や事業の企画立案を担う医療専門職と、通いの場への積極的な関与や個別訪問等を行う医療専門職を想定し、「これらの医療専門職が事業を実施できるよう、特別調整交付金等を活用し、事業実施に対する支援を行う方向で検討を進めている」としている。
後期高齢者医療広域連合には、市町村へ保健事業の実施を委託するにあたり、高齢者保健事業の方針や事業の連携内容を明確にするよう求めた。一方、市町村には、一体的実施の中心となる部局を明確にし、各部局の連携を円滑に進めるとともに、三師会、看護協会、栄養士会、歯科衛生士会などの協力を得つつ事業を展開するよう求めた。都道府県内に求められる役割としては、関係部局が連携して後期高齢者医療広域連合や市町村に対し専門的見地から支援することや、事業の評価や分析などを行うことが必要であるとしている。
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