園芸福祉で介護予防
第9話園芸福祉の効果実証の試み
園芸福祉を高齢者の介護予防に活用しようという動きが全国的に広まってきています。
前回の連載までで紹介してきた街かどデイハウス晴耕雨読舎の試みにおいてもそうですが、介護予防において、園芸福祉の効果は広く認知されるようになってきました。
園芸福祉の良さは誰もが理解しているところで「園芸をやり始めて元気になった」「無表情だった方が、にこやかになった」「今まで身体を動かそうとしなかった方が、トマトの収穫のために手を伸ばした」など、園芸福祉による機能回復や意欲向上(生きがいづくり)の効果が出た事例はたくさん出てきています。
現在の課題は、良い影響はあるものの、客観的には証明しにくい園芸福祉のこれらの効果をどのように評価していくかです。
10月の初旬に岐阜で「第6回 園芸福祉全国大会in岐阜」という園芸福祉の全国大会が行われ、全国で行われている様々な実践事例が紹介されていました。
岐阜県内の病院では、高齢者のリハビリのために園芸福祉を活用していて、身体機能の変化の経過を専門家が見ていくとともに、精神的な効果の評価も実施され、効果が見られているという事例が報告されていました。
また、広島県内の福祉施設では、筋力トレーニングと園芸福祉活動を併用した場合と、園芸福祉活動を併用しなかった場合の、筋力トレーニングの効果の現われ方についての調査が行われました。 結果、筋力トレーニングだけの場合よりも、筋力トレーニングと園芸福祉活動を併用した場合のほうが、より筋力トレーニングの効果が現われるということがわかりました。
園芸福祉活動が身体を動かす意欲の向上に寄与し、筋力トレーニングの効果がより大きくでたのだと思います。
その他、第六話で紹介した埼玉県三郷市の「デイサロンみさと」でも、介護予防における園芸福祉活動の効果を証明する試みが実施されています。ケアプランに基づいて、園芸福祉活動プログラムを組み立て、実施してみた結果を評価していくという新しい取り組みです。
詳しくは「月刊地域保健 11月号」で紹介される予定ですので、ぜひご覧下さい。
園芸福祉が良いことは、疑いのないことだと思います。
これから、医療現場や福祉現場での園芸福祉活動の輪を広げるために「効果の証明」が求められています。