保健師のビタミン

映画にみる(発達)障害

第3話Kawaii! in PDD?

『フォレストガンプ』(1994、アメリカ)
出演:トム・ハンクス、サリー・フィールド、ロビン・ライト、ゲイリー・シニーズ、ミケル・T・ウィリアムソン

前回に引き続きアカデミー賞獲得の映画です。

公開当時は、特殊視覚効果によって主人公フォレストがケネディをはじめとする歴代大統領やジョン・レノンなどの著名人たちと“共演"をしていることでも有名になりました。

原作はウィンストン・グルームの「Gump and Co.」(1985)で、そこから「ガンピズム」なる言葉が生まれ、その生き方が多くの人の共感を得たようです。

主人公フォレストは幼少の頃に知的能力が低いということを医師に指摘されますが、フォレストは自閉症ではないかという議論もあります。

いずれにしても、彼は母親の献身的な愛に守られて成長していき、その後様々な人々とのかかわりの中で波乱万丈の人生を送ります。

今回取り上げたいのはそんな彼が時折みせる「かわいらしさ」です。ボールをもって脇目もふらずに運動場を突っ走っていったり、大好きな彼女を守るために相手にいきなり殴りかかったり、大統領や報道陣の前で「おしっこがしたい」と言ったり…と、映画の中にはまだまだ彼の「かわいらしさ」を映すたくさんのシーンがあります。

このような「かわいらしさ」は実際に障害を持つ人々と会っていても感じるのではないでしょうか?私が担当していたある方は、二人でいるときはほとんど関わりが持てないのですが、数人と一緒にいると、突然「みんなで踊ろうよ!」とか、みんなの拍手にあわせて「パージェロ!パージェロ!」(フレンドパークの真似?)と言い出したりしてました。ここまでくると「かわいい」を通り越して「面白い」でしたけど…

もちろん人それぞれ個性(性格)は違うのだとは思うのですが、こういった「かわいらしさ」や「魅力」をいかにその人の中に見出すかと言うことは、精神保健の仕事の上で結構大事な気がします。

著者
伊藤 匡
東京大学21世紀COE「心とことば- 進化認知科学的展開」特任研究員
1971年兵庫県生まれ。臨床心理士。日本では数少ないサバン症候群の研究を行う傍ら、精神科クリニック・スクールカウンセラーなどを現場として主に児童・思春期の精神保健に携わる

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