保健師のビタミン

事例に学ぶ保健指導

第3話住民は保健師に何を求めているのか?-2

先週、互いに居心地の良い時間を共有できる、と記しました。
それでは、どうすれば住民にそう思ってもらえるのでしょうか?

まず住民が何を求めているのか。相手のニーズを知るところから始めます。

運動や食事など具体的対処方法を教えてほしいと思っている人もいれば、自分の抱えている不安を解消したい、もう十分に勉強して「そのやり方でいいですよ」と認めてもらいたい人など、さまざまな人がいます。

そのため、最初に住民に「聞く」ことが必要です。
この健康相談で何を知りたいのか、相談が終わったときに、どうなっていたらよいのかを、聞くことも時には有効です。
しかし、何よりも信頼関係がなければ、質問はできません。相手と呼吸を合わせ、相手のしぐさを真似てみる、相手の表情や声のトーン、話し方にも意識を向けながら、その人の世界に寄り添いながら、見せてもらうような気持ちで、聞いていきます。

人は人の世界の全てを理解できません。
しかし、知ろうとする努力、相手の心に触れさせていただく、そんな謙虚さと寄り添う気持ちが、信頼関係を作り相手の世界やニーズを聞かせてもらうことができるのだと思います。

住民に一人の人としての敬意を持って、接するとき、保健師であるあなたの心は住民に伝わり、互いに居心地のよさを作り出すことでしょう。

著者
村田陽子
(有) ビーイングサポート・マナ 代表取締役、NPO法人まなネット 理事長
自衛隊中央病院高等看護学院、北海道立衛生学院保健婦学科卒業後、自衛隊札幌病院で透析室看護師となる。朝日新聞健康管理室、HOYA健康管理室などで健康相談、健康教育業務に携わり、1990年よりフリーの保健師、健康教育コンサルタントとしてセミナーを実施。95年ビーイングサポート・マナを設立。01年NPOマナネット設立。

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