保健師のビタミン

事例に学ぶ保健指導

第4話住民主体の健康相談

住民主体の健康相談」とは、住民が自ら考え、目標、自分のやりたいこと、できそうなことを自分で決めてゆくことです。間違っても保健師が相手の目標や行動を決めるものではありません。
また、自己決定とは「健康行動をとる・とらない」を決めるところから始めます。健康行動の方法を選ぶ自由があって、健康行動をとらないという選択肢がないのは行動変容を目指すもので、自己決定ではありません。

もちろん、行動をとることは重要ですし、動いてみるということは、いろんな変化や気づきにつながります。が、それを強要することはできません。

住民が十分に本音で自分のことを話し、自分の価値観や思い、医療情報などを確認した上で、健康行動をとる、もしくはとらないと決めていけばいいと思います。住民が「とらない」ことを選んだのなら、それを尊重していくことが相手の自由を保障することになると思います。

そして「健康行動をとらない」と決めた人は、決して困った人ではありません。
すべての人が健康になるために生きているわけではありません。
健康よりも、仕事や子育て、勉強、趣味、スポーツなど自分のやりたいことを第一に考えて生きている方が多いでしょう。健康は自分のやりたいことを実現させるために欠かせない要素の一つだと思います。

だからこそ、より良い人生を送るために「どんな生き方をしていきたいのか?何をしたいのか?」を聞いてみたくなるのです。

著者
村田陽子
(有) ビーイングサポート・マナ 代表取締役、NPO法人まなネット 理事長
自衛隊中央病院高等看護学院、北海道立衛生学院保健婦学科卒業後、自衛隊札幌病院で透析室看護師となる。朝日新聞健康管理室、HOYA健康管理室などで健康相談、健康教育業務に携わり、1990年よりフリーの保健師、健康教育コンサルタントとしてセミナーを実施。95年ビーイングサポート・マナを設立。01年NPOマナネット設立。

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