保健師のビタミン

ヘルスプロモーション的ほめ言葉

第2話早速ほめてみましょう! メリットに気づいて!

さて、「ほめる」と、保健活動の上で、どんな良いことがあるのでしょうか?

まず、ご自身の身のまわりの方から、実践してみるのをお奨めします。

「○○さん、リハの会でも、その笑顔でいつも元気をもらってますよっ!」
「一緒に歩こう会に参加できて、うれしいね!」

さりげなく声をかけてみましょう。相手がにこっと微笑めば、大成功! 相手の方は、あなたの「ほめビタ」で元気になったこと間違いなし。

で、あなた自身はいかがでしょう?
あなたの顔にも、微笑みが生まれて、お互いの緊張が和らいだのを感じましたか?

そう、リラックス!
実は、これが、ほめることの最大の効果です。明るく楽しい、共感的な心の交流が創られました。

これこそがヘルスプロモーションの重要な前提条件なのです。人はほめられることで「自分を理解してもらえている」と思うことができます。これがセルフエスティーム(自己価値感)とモチベーション(意欲、やる気)の基礎を作り出していきます。

え、目の前の席の人が微笑んでくれない? そんな時には、
「まじめで、しっかりしたあなたが、家族会にいてくれて本当に安心!」
はぁ? おっちょこちょいな人?
では「ホント、あなたがいるだけで、メタボ教室の場が和やかになるのよー!」
とにかく、まず目の前の人の良い所を探して、声に出して見ましょう。

カール・ロジャースという心理学者は「非常に逆説的ではあるが、人は自分をあるがままに認められてはじめて、自分を変えることができる」と述べています。

人は問題点や悪いところを指摘されることで反省し、行動変容していくと一般には思いがちです。ところがそうではないのです。まず自分が認められ、自分を肯定的に受け止め、自分自身に価値があると思える気持ちが育ってはじめて行動変容に向かっていきます。

「ほめる」ことは、変化を生み出すヘルスプロモーション上の大切なステップなのです。

著者
佐甲 隆
三重県立看護大学教授(公衆衛生・地域保健学)
小児科臨床医だったが米国留学の後、公衆衛生に転身。ヘルスプロモーション、保健活動マネジメント、保健師コンピテンシーに関心を持ちつつ、明るく楽しいナラティブな対話型公衆衛生を目指す。

保健師のビタミン 著者別一覧へ

ページトップへ