保健師のビタミン

ヘルスプロモーション的ほめ言葉

第8話変化をほめる

行動変容で成果を出すのは、ほんとに難しいことです。それは、真の意味で、人が変ることが難しいことだからです。

でも、人間は、日々少しずつ変化していますよ。そうであれば、その小さな変化は、もちろん、ほめて差し上げるのにふさわしいものなのです。なにか、ちょっとした変化を見つけて、ほめてみましょう!さて、どんな変化を探せるでしょうか?

例えば、
今まで黙っていた人が、重い口を開いて、自分の想いを語り始めたとき。
一つも動かなかった人が、ほんのちょっと何かを始めようとした時。
それが変化です。まさに、ほめるべき時、絶好の、ほめるチャンスなのです!

○○さん、最近いきいきしてきたね!
ウォーキングスタイル良くなりましたよ、
□□さん! 飲み込み早いですね!
お母さん、最近表情きらきらしてますね、お子さんも元気いっぱいになりました!

保健師さんはお仕事柄、その人の良くないところに眼を向けやすいものです。その人の良くない行動、リスク行動にばかり注目せず、健康に良い「変化」を探すようにしましょう。

ヘルスプロモーションにおける「イネィブリング」とは、できないことが、できるようになることです。

それが、スキルの向上であり、エンパワメントに他ならないのですが、それはまさに「変化」したということなのです。

また、変化のための、良い動機を持ったこと、きっかけを持ったことだけでも、ほめてみましょう。モチベーション自体が、ほめられるに値するものです。

美容のためにダイエット? ステキじゃないですか!
長生きのために健診に来てくださったの? 大歓迎です!!

クライアントが成長したと思ったら、即、ほめましょう!何かがうまくいったときが、ほめるチャンスです。タイミングも大事です。成果に向かう変化を、すばやく見出し、さっとほめてみましょう。

そのためには、しっかりと眼を見開いて、細かな変化、ポジティブな変化を見出していくことです。それが、評価における「モニタリング」ということに他なりません。

そして、実際の好ましい変化、すなわち「アウトカム」を確認して、みんなで最大限ほめあいましょう。それによって、人と地域がエンパワメントされ、さらに健康になっていきます。

え、「さっぱり変化がない」ですって?
待ってみましょう。
そう、ゆっくりと、楽しみながら、期待しながら、成長を待つ時間が貴重なのです。
あせらずにね。

著者
佐甲 隆
三重県立看護大学教授(公衆衛生・地域保健学)
小児科臨床医だったが米国留学の後、公衆衛生に転身。ヘルスプロモーション、保健活動マネジメント、保健師コンピテンシーに関心を持ちつつ、明るく楽しいナラティブな対話型公衆衛生を目指す。

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