映画にみる保健活動のヒント
第4話棺桶リスト
あなたは、余命6ヶ月と宣告されたらどうしますか?
ロブ・ライナー監督の『最高の人生の見つけ方』はそんな映画です。 家族の愛は得たが自分の夢は犠牲にして働いてきた勤勉実直な自動車修理工カーター(モーガン・フリーマン)と、お金だけは腐るほどあるものの見舞客は秘書だけという大富豪のエドワード(ジャック・ニコルソン)が、病院の二人部屋で出会います。
どちらも余命6ヶ月と宣告されました。カーターは大学一年生の哲学の授業で"棺桶リスト"を作る課題を出題されたことを思い出します。それは、将来自分が死ぬまでにやっておきたいことをリストにするというもの。まさに映画の原題は『THE BUCKET LIST(棺桶リスト)』なのです。
「荘厳な景色を見る」「見ず知らずの人に親切にする」「泣くほど笑う」…と、カーターは書きました。「スカイダイビング」「ライオン狩り」「世界一の美女にキスをする」…と、エドワードが付け加えました。そして、二人は人生でやり残したことを叶えるために、生涯最後の冒険旅行にでかけます。
ところで、私は外国の施設見学のチャンスに恵まれると、視察先で「入居者をしあわせにするために何をしていますか」と聞くんです。「幸せは個々に違う」というアングロサクソン系から、「飲んで歌えば幸せさ」と、能天気なラテン系までいろいろです。ドイツ人と北欧の人たちはまともに答えてくれます。それを日本人がまとめました。
- 家族といること
―子どもは小さい時ほど親と一緒にいたいもんです。お年寄りも家族に囲まれていたいんですねぇ。 - お金があること
―衣食住の心配なくちょっとした趣味を満たせる程度のお金は持っていたいですね。どの程度かが難しいですが…。 - 信仰をもつこと
―生きることの不条理、お釈迦様が言った生老病死を受け止める価値観をもつこと。他人と比べても虚しいですよね。
確かに以上の三点がそろえば、人はしあわせと実感するかもしれませんね。
現代の日本に即せば、
- 愛する人がいる。
- 福祉制度が充実している。
- 哲学をもっている。
と置き換えてもいいかもしれません。
さて、あなたは幸せですか?あなたもカーターとエドワードのように"棺桶リスト?"を作ってみませんか?私たちはいつ死ぬか判らないのですから…棺桶に後悔を持ち込まないためにも…