保健師のビタミン

発達サポート読本

第1話少年作家、東田直樹君

東田直樹君は、すでに何冊も本を出している少年作家です。詩や童話を集めたものもあれば、この本のように障害を持つ当事者の立場から、自閉症の症状や体験について記したものもあります。

そう、東田君は自閉症なのです。自閉症の人は言葉に障害がありますが、彼の場合は話し言葉が上手に使えません。けれども、書き言葉には優れていて、その能力は上に述べたとおり、もはや作家クラスです。

本書は、お母さんの美紀さんとの共著になっています。お母さんの解説により、東田君のこれまでの成長の様子や、「筆談」という方法を通して言葉を手に入れていく過程を知ることができます。付録のDVDには、創作活動に励む東田君の姿が記録されています。

自閉症は、「情の通いにくい」ところに特徴を持つ障害です。それでも、東田君は、その独特の「情」のあり方と伝えにくさ、それに基づく苦悩などを、自分の言葉を使って見事に表現しています。

著者
山登 敬之
医療法人社団八月会東京えびすさまクリニック院長
1957年東京生まれ。精神科医、医学博士、日本児童青年精神医学会所属

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