保健師のビタミン

発達サポート読本

第2話十歳のケネス・ホール君

前回紹介した東田直樹君の本が出版される4年前、北アイルランド生まれのアスペルガー症候群の少年が書いた本書が書店に並びました。
著者のケネス・ホール君が、この本を書いたのは、なんと10歳のときだそうです。

アスペルガー症候群は自閉症の兄弟分にあたる発達障害です。自閉症のように言葉の障害は目立ちませんが、情が通いにくいところ、独特のこだわりがあるところは、どちらも似ています。
8歳で診断を受けたホール君は、自分の生活や経験を通じ、アスペルガー症候群の特徴や当事者の感覚について、元気いっぱいに報告してくれています。

ホール君は学校に通っていません。学校生活や授業のやり方が、彼には不向きだからです。でも、ホール君の教育や療育、さらに家族のサポートまで、地方教育庁と専門家チームがバックアップしているので、心配はないようです。
その様子を知ると、いまさらながら、わが国の教育行政、福祉行政のお粗末さに思いいたり、ため息が出そうになります。

著者
山登 敬之
医療法人社団八月会東京えびすさまクリニック院長
1957年東京生まれ。精神科医、医学博士、日本児童青年精神医学会所属

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