発達サポート読本
第3話超人的な記憶力のダニエル・タメット氏
今年の6月に出版された話題の本です。
著者のダニエル・タメットは1979年ロンドン生まれ。超人的な記憶力の持ち主で、円周率22500桁を暗証し10ヶ国語をあやつります。計算の天才でもあります。
でも、そのいっぽう、アスペルガー障害を抱えています。彼のように、非凡な才能と脳の発達障害をあわせ持つケースを、「サヴァン症候群」と呼んでいます。
タメット氏は、数字や文字を見ると、形だけでなく、色、質感、動きなどを同時に感じるそうです。ひとつの刺激によって複数の感覚が連動して生じる現象のことを「共感覚」といいますが、彼が計算や外国語の習得に超人技を発揮できるのは、この共感覚のおかげでもあります。
本書を読む人は、人間の脳の不思議に感嘆するとともに、アスペルガー障害という難しい障害を抱えながらも自立の道を一歩一歩進んでいくタメット少年の成長ぶりに、大きく心を動かされるでしょう。彼を支える家族の姿も感動的です。