保健師のビタミン

発達サポート読本

第6話現代日本の文豪、橋本治さん

イラストレイター、小説家、評論家、セーター作家、国文学者…と、さまざまな顔を持つ橋本治氏の自伝(たぶん)小説。お菓子屋さんの子ども「ケンタくん」の小学校入学から高校卒業までを描くビルトゥンクス・ロマン!全部で3巻ですが、1巻が100ページ程度ですから一気に読めます。

幼稚園まではふつうに育ってきたケンタくんですが、小学校という新しい環境に適応できなかったために、学校では口のきけない、友だちのいない「問題児」になってしまいました。
家ではお手伝いをしたり、近所の子の家に遊びに行ったりもするのに、学校では一言も口をきけないのです。そんなことが1年生から4年生まで続きました。もし、病院に連れていかれてたら、「選択性緘黙」と病名がついてしまったことでしょう。

著者は、そんな子どもの心理や昭和の家族の暮らし、かつて学校や横町に存在した子ども社会を、ていねいな筆で生き生きと描きます。同時に、学ぶこと、経験すること、成長することの意味を、優しく解き明かしてくれています。

著者
山登 敬之
医療法人社団八月会東京えびすさまクリニック院長
1957年東京生まれ。精神科医、医学博士、日本児童青年精神医学会所属

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